ミックスボイスを出せる人は、どういう感覚で歌っているんだろう
高音がでなかった頃、僕がずーっと知りたかったことです。
「理想の高音を出している歌手に、高いお金を払って30分でも良いからどういう感覚なのか教えて欲しい」
昔、いつもいつもこんな事を考えていました。
幸運な事に、僕は張り上げでhiAも安定しない状態から今では女性の曲も原キーで歌える曲がかなり増えました。
ここまで10年以上費やしてボイトレを継続してきましたので、今高音に悩んでいる方に有益な情報を提供できるはずです。
張り上げていた頃と比べて、ミックスボイスが出来るようになった今、どんな感覚で歌っているのか?
本題に入っていきます。
まずは結論
一言で言い表すと「昔と同じように歌っているのに余計な力が入らず、勝手に裏声が混ざってくるようになった」という感覚です。
詳細を箇条書きで書くと、
- 高音になるほど顎を上げる・顎を固めていくような感覚がなくなった
- 口の開き具合、喉の開き具合は、普段自分が喋るレベルに近い状態で留めておくほど楽になる
- 小さい声で歌う方が楽になり、大きい声を出そうとするほど大変という、ごく自然な状態
- 昔は脱力して高音を出すと裏返っていたのに、同じ出し方をしても今は裏返らない
- 地声のまま、ただ歌っているだけ。自分の喉を信じ、余計な力を入れなければ、自動的に裏声が混ざってくる
- 余計な事をせず、只々自然に声を出している(腹式呼吸、鼻腔共鳴、喉を開く等、余計な事を考えていない)
- 高音になるほど必要なエネルギーが増えるし、歌は基本的に高音になるほどパワーのある声を要求されるもの。だからミックスボイスが出来ていても当然高音になるほど疲れる
高音が出せなかった頃の自分を思い出して、知りたかった感覚や状態についてまとめてみました。
「そうなんだ!」と思うような内容はありましたか?
それでは、ミックスボイスを習得する上で重要な点に絞ってもう少し解説していきます。
特殊な技術ではない。絶対にない。
ミックスボイスは特殊な技術ではありません。
これは「ミックスボイス」という名前を誰かが付けてしまったので勘違いしやすい点ですよね。
高音を出すにあたり、余計な力を入れてしまうなどの問題がない状態で自然に起きる現象が「ミックスボイス」であり、裏声が混ざってくる現象なのです。
重要なのは技術の足し算ではなく、余計な要素の引き算
ミックスボイスは特殊な技術ではないので、腹式呼吸だとか鼻腔共鳴だとか、そういった技術は何もいりません。
あとは「高音喉が閉まって苦しい」という事に対して「喉を開け!」なんて事が昔から言われています。
残念ながら、いくら喉を頑張って開けても高音の苦しさからは開放されません。
問題は喉が閉まっていることではなくて「苦しい」という一点だからであって、その原因は余計な力を加えてしまうからです。
つまりミックスボイスを習得するためには特別な技術を習得するのではありません。
喉に余計な力を入れない、怖がって声を大きくしたり大きなエネルギーを使ってしまうといった、余計な要素を引き算していけば、自然に地声と裏声の境目が消え、気づけばミックスボイスを出来ている状態になるということです。
「高音が楽になる」は半分ウソ
ミックスボイスを習得すれば高音が楽になる、これは確かにそうですね。
それは喉に余計な力が必要なくなるからです。
しかし飛躍して、まるで女性でも歌える人が限られるほど高音を連発するような曲でさえ楽に歌えると考えてしまっている人もいます。
そのように発信しているトレーナーさんもいますが、そんな事はありません。
商売上、そのように発信したほうが期待して人が集まってくるのかもしれませんね。
これは高音を得意とする歌手の様子を見ればわかります。
どれくらいエネルギーを使って声を出しているのか、よく観察してみてください。
パワーを感じる声、それを高音でも保つためにはそれなりにエネルギーを要求されるのです。
もしも省エネで歌えば、当然「省エネで歌っているような声」がでてきます。
更に「ボイトレと歌の違い」という観点から考えてみましょう。
同じエネルギーで声を高くしていくと、裏声が入ってくるので段々と声が弱くなっていくのです。
ボイトレのスケール練習ではパワーを要求されませんから、高音でも同じレベルか、それ以下のパワーの声でも何の違和感ないので、省エネで声を出していても問題がないのです。
しかし歌ではどうでしょうか?
Aメロの低い部分では、通常よりも弱い声、優しい声が要求されます。
そしてサビに向かって高音になると、通常よりも大きな声量、強いパワーが要求される傾向にありますよね?
ということは、ボイトレで普段練習している事とは真逆の事を歌の中でやらなければいけないのです。
ボイトレでは上手く高音が出せるのに、歌になると難しくなる大きな原因はこれです。
そして僕がお伝えしたいのは「ミックスボイスができれば高音が楽になる=低音と同じレベルのエネルギーで歌える」と考えてはいけないということ。それをやると、高音になるほどパワーが落ちて歌に迫力がなくなります。
ですから、歌になると高音が大変に感じるのは当たり前のことで、それを間違っていると感じる必要はありません。
まとめ:余計な力を入れない方法を探そう
僕がミックスボイスを出せるようになった今の感覚を一言で表すと、
「昔と同じように歌っているのに余計な力が入らず、勝手に裏声が混ざってくるようになった」
これです。
僕は何か特別な事をして高音を出しているのではありません。
昔は力を入れずに歌うと声が裏返ったりして安定しなかったのに、今はその声が歌に使える状態になったのです。
余計な力を入れずに出てくる声が安定しないなら、それを安定させるにはどうすればよいのか?という観点で考えてみてください。
高音に悩んでいる方に向けた情報をこれからもたくさん発信していきます!
ぜひ参考にしてくださいね。
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